引きつった笑み

f0126840_22374726.jpg今の職場には、自分も含め研究部門に適応出来なかった面々が流れ着く。

今の職場が無くなると、会社としては困るので、人手が足らなくなると、補充人員を研究部門に打診する。

自分が退院した直後に、補充人員の打診があり、研究部門長は、自分を指名した。
入院前にはテレフォン年休とりまくっていたので、研究部門長の期待は悉く裏切っていたし、
退院後は焦らずいこうと構えていたから、研究部門長から見れば、ヤル気が感じられなかったのだと思う。
「まあ、頑張ってくれや!」とあっさり放り出された。研究者から見れば、場末の職場である。
まだ研究者であったころ、知り合いが、場末の職場(現在の職場です)に転籍したと聞くと、
「可哀想だが、協調性がなかったしワガママだったからなぁ」と納得していた位である。
ショックではあったが、アル中と会社にバレたのに「クビにならなかっただけでも儲けもん」と考えた。

転籍後、人事部長に呼び出された。当たり障りのない世間話の後、人事部長が切り出した。
「ズバリ聞くが、何故アル中になったんだ?」
この質問には困った。アル中になったのは認めるが、何故なったかと聞かれても、答えられない。
判っていれば、酷くなる前に、酒を止めているはずだ。
「会社を休んだ日には、昼間から飲んでました」とか「手が震えて書類にサインが出来ませんでした」とか
体験発表なら出来ようが、相手は人事部長である。そんなことはとても言えない。
そこで、人事部長相手に、一般人向けの「アル中についての講義」を行った。

アルコールは薬物の一種であり、長期間飲み続けると誰でもアルコール依存になる。
人間の寿命は短いので、依存体質が形成される前に天寿をまっとうするから、一般人はアル中にならないが、
生きている間に、依存体質が形成される場合がある。これがアル中である。
よってアル中は、誰でもなりうる可能性のある病気である。

(理解したのかどうか判らないが)「ふーん」と言って人事部長は最後にこう締めくくった。
「今度アル中になったら、止めてもらうからな。」
(あの~、今でもアル中なんですが・・・)とは流石に解説できず、御辞儀をしてその場を退散した。
人事部長にしてみれば、クギをさしておこうと考えたのかも知れないが、
「クギをさされた位で、酒を止めれるのなら、とっくの昔に止めてるわい。」と思ったのであった。

右も左も判らない状態で現職についたが、最近は関連部署から
「先日はありがとう。」と言っていただけるようになった。
そこまでは、うれしいのだが、困るのは次の一言である。

「世話になったから、今度飲みに行こう。」
これを言われると、当方は気持ちだけ有難く頂戴するのである。
引きつった笑みを浮かべながら・・・。
[PR]
by enantio-excess | 2007-01-26 22:40


<< 例会荒らし 命 >>