今の職場には、自分も含め研究部門に適応出来なかった面々が流れ着く。
今の職場が無くなると、会社としては困るので、人手が足らなくなると、補充人員を研究部門に打診する。 自分が退院した直後に、補充人員の打診があり、研究部門長は、自分を指名した。 入院前にはテレフォン年休とりまくっていたので、研究部門長の期待は悉く裏切っていたし、 退院後は焦らずいこうと構えていたから、研究部門長から見れば、ヤル気が感じられなかったのだと思う。 「まあ、頑張ってくれや!」とあっさり放り出された。研究者から見れば、場末の職場である。 まだ研究者であったころ、知り合いが、場末の職場(現在の職場です)に転籍したと聞くと、 「可哀想だが、協調性がなかったしワガママだったからなぁ」と納得していた位である。 ショックではあったが、アル中と会社にバレたのに「クビにならなかっただけでも儲けもん」と考えた。 転籍後、人事部長に呼び出された。当たり障りのない世間話の後、人事部長が切り出した。 「ズバリ聞くが、何故アル中になったんだ?」 この質問には困った。アル中になったのは認めるが、何故なったかと聞かれても、答えられない。 判っていれば、酷くなる前に、酒を止めているはずだ。 「会社を休んだ日には、昼間から飲んでました」とか「手が震えて書類にサインが出来ませんでした」とか 体験発表なら出来ようが、相手は人事部長である。そんなことはとても言えない。 そこで、人事部長相手に、一般人向けの「アル中についての講義」を行った。 アルコールは薬物の一種であり、長期間飲み続けると誰でもアルコール依存になる。 人間の寿命は短いので、依存体質が形成される前に天寿をまっとうするから、一般人はアル中にならないが、 生きている間に、依存体質が形成される場合がある。これがアル中である。 よってアル中は、誰でもなりうる可能性のある病気である。 (理解したのかどうか判らないが)「ふーん」と言って人事部長は最後にこう締めくくった。 「今度アル中になったら、止めてもらうからな。」 (あの~、今でもアル中なんですが・・・)とは流石に解説できず、御辞儀をしてその場を退散した。 人事部長にしてみれば、クギをさしておこうと考えたのかも知れないが、 「クギをさされた位で、酒を止めれるのなら、とっくの昔に止めてるわい。」と思ったのであった。 右も左も判らない状態で現職についたが、最近は関連部署から 「先日はありがとう。」と言っていただけるようになった。 そこまでは、うれしいのだが、困るのは次の一言である。 「世話になったから、今度飲みに行こう。」 これを言われると、当方は気持ちだけ有難く頂戴するのである。 引きつった笑みを浮かべながら・・・。
by enantio-excess
| 2007-01-26 22:40
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