座席

f0126840_2340131.jpg職場へ向かう車内では、座席には座らずにドアの所にもたれて立つ。窓の外や、車内の人々を眺めるのである。

座席は6人掛のようである。6人掛けと明記してある訳ではないが、混んでいる車内では6人で座っていることが多いし、一度「ここ、空いてんで!」と強引に座って来たおっさんがいたので、詰めてみたのだが、おっさんの背中が背もたれに付くことはなかったから、6人掛けなのだと信じている。最近は、ど真ん中にポールが立っていて3+3しか座れない座席もある。

さて、今朝の出来事であるが、6人掛けのシートに順番に5人が腰掛けた。両サイドが埋まり、真ん中に一人、その間に一人ずつで計5人である。
真ん中は、おばさんであった。もともとおばさんの座る位置がど真ん中ではなかったのか、混んできたから詰めたのか、見過ごしたのだが、中点を少しはみ出した状態である。間を空けて反対側には若い女性で、その向こうにもう一人が腰掛けている状態である。

次の駅に着くと、作業員風のおじさんが乗って来た。先程の隙間を見つけて、軽く手を上げる。若い女性は少し詰めた。だが、おばさんは詰めようとしない。おばさんは真ん中を跨がないように少し詰めてあげるべきだと思うのだが、我関せずといった感じである。作業員風のおじさんは、詰めてくれた女性にお辞儀をしつつ、座席に腰掛けた。
(気ぃ悪いおばはんやなぁ・・・。)と思ったのは自分である。(少し詰めてやれば良いのに・・・。)
「おばさん」の呼称が、「おばはん」に変わった瞬間である。

しばらくすると、作業員風のおじさんが、袋から飲料缶を取り出した。淡い光沢のあるベージュ色の缶である。缶の側面に円形のマークが入っている。どうやら「お酒」のマークである。
(電車の座席に腰掛けて、飲むのかなぁ・・・。)
おじさんは、缶をおでこに当て、続いて、頬っぺから首筋へと気持ちよさそうに缶を当てて行く。夏場には、キンキンに冷えたペットボトルのお茶を当ててい光景を見かけることがあるが、お酒の缶である。珍しい光景である。若い女性はおじさんの影になって見えないが、おばはんは気付いたらしい。少し気の毒なおばさんである。「おばはん」の呼称が、「おばさん」に戻る。
他に空いている座席がないか、辺りを見回し始めたものの、見つからないのであきらめたようである。

作業員風のおじさんが、缶を開けた。「プシュッ」という音を予想していたのだが、「カコン」という感じの音である。炭酸があまり入っていないようである。おじさんは、缶を口の所へもって行き、ゆっくり飲み始めた。再度、辺りを見回し始めるおばさん。

f0126840_23415547.jpg6人掛けのところに5人しか座っていないところもあるのだが、そちらへ移ろうとしない。また背中を背もたれに付けるおばさん。真横で飲まれたら良い気分ではなかろう。自分だったらすぐに席を立つ。おばさんが、別の座席に移るには、先人に詰めてもらう必要があるが、先程の様子を見ていると、おばさんは詰めるということが、嫌いな感じである。既得権を主張するかのように、座り続けるおばさん。

次の駅についたら、若い女性とおばさんの両方が立ち上がった。空いている席を見つけたのか、降りる駅だったのか定かではない。こちらも降りたので、その後の座席の状況は判らないのである。

何となく憎めないところのある顔をした、おじさんであった。
[PR]
by enantio-excess | 2007-10-12 23:39


<< 親バカ 流行 >>