「ほっ」と。キャンペーン

二年前までの自分、二十年後の夢(後編)

 医者は入院を勧め、嫁はんも入院してくれという。こっちにはその気がない。嫁はんが泣き出し看護婦が外へ連れて行く。
「内科併設の病院にベッドの空きがある。」「内科なら・・・」
と渋々入院を決めた。前日は深夜まで飲む。寝る前に「もう決して飲みません!」と横文字で書いてサインした。血判を押そうとしたが、自分で切れず針で突いてもらった。嫁はんが血判に注釈を入れた。「パパの血」。何とも安っぽい。信じていなかったのだろう。
 入院した日の夕方から離脱が始まる。夕食時、振戦で箸が持てない。嫁はんが
「どうしたの?」
と聞く。嫁はんには手の震えをずっと隠して来た。もう隠しようがない。
「これが離脱や!おもろいやろ?」
と解説する。スプーンで口へ運ぶがうまく運べない。

 病院の横に小学校があり子供の声が聞こえた。物干し場から校庭が見渡せた。今日息子は幼稚園の演奏会で大太鼓を叩くという。外出禁止で見に行けない・・・。涙が出た。
 嫁はんが、演奏会の様子をビデオに収め持って来てくれた。とぼけた顔で大太鼓を叩いている。親がこんな所にいるとも知らずに。
 入院中、嫁はんと交換日記をした。言い出したのは嫁はんの方だ。
「今まで会話が少なかったから・・・。」という。
暇なので、日々の出来事を書いた。段々手の震えも収まり、まともな字が書けるようになる。嫁はんが書いていたら息子は
「僕も!」
と言ったらしく、途中から親子三人の日記に変わった。
 例会に誘ってもらった。平成14年2月2日、断酒会の例会に初出席。帰りがけに司会の人が「来週も来て下さいね。」と声を掛けてくれた。
 退院が近づくにつれ、本当に断酒が続けられるものか不安になった。ふと、バルセロナオリンピック、男子マラソンの谷口浩美選手を思い出した。靴が脱げて転倒したがゴールを目指し入賞。ゴール直後のインタビューでは「いや~、こけちゃいました。」である。断酒を始めてもいないのに心配しても仕方がない。たとえ転んでもすぐに立ち上がれば良い。そう考えると気が楽になった。
 生涯断酒の自信はないが、例会出席は死ぬまで続ける。昼間は園芸や畑仕事に精を出し、夜は例会出席する。定年後の夢が出来た。
[PR]
# by enantio-excess | 2003-06-07 00:01

【本当にこのままで良いの?(仮題)】(ノートから転記)

自分で言うのも何ですが、かなり重症です。
昔は、もう少しまともな字が掛けたのに、最再近近頃{}は、
まともな字すら書けません。恐らく振戦(不規則なふるえ)によると思います。
:「最近」の漢字が判らず、「近頃」に置き換えている。}

依存症を■■{家内の名前}に自白するのに、2年程かかりました。■■{地名1}に転勤直後から、
その傾向が少しずつ現れ、自分でも「ヤバイかも知れない」とは思っていましたが、
こんな所にまで、症状が進んでしまいました。

○生命保険金が高いというのも口実の一つになりました。
○また、結婚式での「お酒様」の儀式で無様な姿をさらしたくない、
 というのも入口の一つであり、
 結婚式が近付くにつれ「強くならなければ」と酒量を増やしました。
○親父が、早死したのも原因の一つです。(自分より、恐ろしい存在がいなくなったので)
○■■{地名1}は自宅から遠く、通勤時間が長かったのも原因で、
 ■■{地名2}駅で缶ビールの一気をよくやりました。
○本社勤務の時は、通勤時間は短くなりましたがストレスのため酒量は減りませんでした。

肝機能は悪化の一途をたどっています。ビリルビンまで上昇してます。
まだ、手の紅斑は見られませんし、白目も黄色くなっていませんが、
このままの生活を続けていては、近々、黄疸の症状が現れると思います。

今までの悪業{注:「悪行」の誤記と思われる}の数々、思い出し書きとめておこうと思います。

もし、私に万一のことがあれば、■■{家内の名前}は、
このノートから、個人を特定出来る部分を消去し、一症例として公開して下さい。
依存症では過労で死んだとしても、労災認定がおりません。

まだ実験室の99.5%EtOH{注:エタノールのこと}には、手を出してません。
料理酒には手を出しました。塩分が入ってますが、飲めないことはありませんでした。
O-157騒ぎの時には、台所においてあった消毒用EtOHに手をのばしそうに
なりましたが、思い留まりました。最近買って来た消毒用EtOHにも手を出してません。

やめようとは思っています。しかし、断酒後の振戦譫妄が恐くて、完全断酒は出来てません。
サイナミド(CNNH2)は効果的でした。缶チューハイを一口飲んだだけで、
頻脈、悪心が起きました。このまま死んでしまうかも知れないと思った程です。

いつも「明日からやめよう」と思って飲んでいます。
次の日も、次の日も、ずるずると“明日”はいつまでたっても来ません。

「今日、一日だけやめておこう」「一日だけならやめれそうだ」
その日、成功すれば、自信がつきます。
次の日には、
「今日、一日もやめておこう」「今日一日だけやめておけばいいんだ」
それを連続すれば、断酒できるはずです。(理論上は)

2001.8.28 1:25AM
□.□□□□□□{自分のサイン}
[PR]
# by enantio-excess | 2001-08-28 01:45