二年前までの自分、二十年後の夢(前編)

 中学生の頃
「気ぃつけや!あんたは酒で失敗するかも知れない。」
「酒は飲んでも呑まれるな!」
と母親が言った。飲んでも顔に出ないので心配したのだろう。
「呑まれるな!」を「飲んでも乱れるな!」と誤解した。
努力の結果、酒席でも乱れることなく二次会、三次会まで付き合う様になっていく。
 晩酌でビールを飲むと、飯が入らない。嫁はんが「せっかく作ったのに。」と口を尖らせる。家に帰るまでに飲む事にした。隠し酒が身についた。夜勤で朝酒、二日酔いで迎え酒を身につける。アル中のレールに乗っているのに、その頃は知る由も無い。

 健康診断の血液検査、肝機能の数字は右肩上がり。本で肝臓が悪い時の症状を調べる。右肋骨の下辺りに手をあてるがしこりはない。鏡を見ながら目を左右に滑らせ目の色を見る。黒目はどんよりと覇気がないが、白目は白い。手の平に紅斑もない。「まだ飲める!」
 近所に酒を買いに行く。昨日も来たので店員の目が気になる。明日は店を変えよう。
 飛蚊・下痢・こむら返りに襲われやがて振戦が来た。飲むと怒りっぽくなる。嫁はんが気に入らず夜中にベランダへ放り出した。深夜気が付くと、放り出したはずの嫁はんが横に寝ていた。罵声を浴びせ再び放り出す。

 毎朝目が覚めると吐き気が襲ってくる。缶ビールを開け半分飲む。洗面所で胃液もろとも一旦吐き出す。残りの半分を異に収め家を出る。昼食時、味噌汁の碗や茶碗が振戦で片手で持てない。両手で持って他人の目をごまかした。
 月曜の朝が来る。起きれない。出社するのも億劫だ。休みたいが上司と交わす言葉がない。嫁はんに電話してもらう。上司が言う。
「御主人を電話に出して下さい。」
寝起きのため都合よく吐き気が襲ってくる。
「ベランダで戻しているので出れそうにありません。」
嫁はんが電話を切った後、迎え酒から始める。有給休暇が消えていく。

 料理酒は塩辛いが、塩を肴に飲んでいると思えば腹に入れば同じことだ。

 子供がケガをしたので消毒用にエタノールを買う。会社を休む。平日の真昼間に酒を買いに行けない。ポカリスエットで薄めて飲む。ツンと来るが、飲めない訳ではない。
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by enantio-excess | 2003-06-07 00:02


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