JRは便利だが、降り損ねると、とんでもないことになる。
十数年前、バドミントンの大会の後、三ノ宮で打上をやった。 夜遅くまで、水割りをしこたま飲んで、快速電車に乗り込んだ。 大阪駅までは半時間程の小旅行である。 がら空きだったので、座席に腰を掛け、ウトウトとする・・・。 車掌に起こされて目が覚めた。「降りろ」と言ってるようだ。 車窓からホームを見て、芦屋駅だと思った。 「何故、芦屋駅で降ろされなアカンねん?」 「芦屋行きの快速電車だったのか?そんなんあったっけ?」 フラフラとホームの階段を上り、改札口で駅員に大阪までの定期券を見せ、駅舎を出た。 何か、雰囲気が違う。(芦屋駅ってこんな駅だったけ?) ふと振り返ると「野洲駅」と書いてある。「芦屋駅」の幻想を打ち砕く。帰りの電車はもうない。 観光案内だろうか「ようこそ野洲町へ!」の看板を見上げていたら、タクシーの運ちゃんが寄って来た。 「兄ちゃん、寝過ごしたんか?」 「芦屋やと思ってた。」 「芦屋?芦屋いうたら神戸の真ん中やないか、ここは滋賀県やで!」 (芦屋は神戸の東側にあるが知らないらしい。) 「ドライブがてらに大阪まで送ってやってもええで」(メーターを倒さずに走るつもりらしい。) 数千円から徐々に相手の顔色を伺いながら、運賃の交渉を始めたのだが、「一万円は出して貰わんとなぁ」と言われ、 「8千円しかない」というと、「ほな、始発まで待ち!」と言い残して、運ちゃんは去ってしまった。 京都まで行けば、8千円で送ってくれるタクシーが見つかるかも、と歩くことにした。 バドミントンのシューズに履き替え、線路に近い道を京都方面に歩く。 歩きながら、「瀬田川をどうやって越えるか」考えていた。 野洲~栗東~守山~草津まで戻ったところで、夜が明けたので、始発電車にて帰阪した。 翌朝、財布の中を調べてみたら、一万数千円程入っていた。(財布の中身すら記憶になかったのである。) アル中が深刻化する前、まだ健康的な酒飲みだった頃の出来事である。
by enantio-excess
| 2007-04-09 23:54
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